熊本地震から4年半、肥後大津−赤水を行く
熊本地震で豊肥本線の肥後大津駅-阿蘇駅間は、ずっと不通になっていました。このあいだ7月末に阿蘇に来たときには、試運転の列車が走る初日でした。その後、8月8日に営業運転を再開しました。4年4月かかりましたが復旧できて安心しました。
私は試運転は見ましたが、8月8日の開通の日にはもう阿蘇を離れていたので、実際に列車には乗っていません。今日(11月28日)乗ることができました。
肥後大津を出る列車は宮地行き普通、赤いディーゼルカー2両編成です。キハ200系です。次の駅瀬田では普通列車と交換しました。瀬田駅は地震前と特に変わっていないようです。駅名板が黒地になったくらいでしょうか。
次の駅が立野です。ここから先が一番被害が大きくて、復旧が大変だったところでしょう。「熊本地震からの復旧復興、応援ありがとうございます」という看板がかかっていました。「2020年豊肥本線全線開通」はいいにしても「2023年第三セクター南阿蘇鉄道全線開通」は将来のことです。「予定」と書くスペースがなかったからかな。それとも看板を2023年以降まで使おうと思ったのでしょうか。
立野から次の赤水までは、スイッチバックで登ります。ここが被害の大きかったところで、スイッチバックは運転に不便だし、時間もかかるし、スイッチバックをやめて新線でも作るのではないかと思っていました。貴重なスイッチバックが残ってよかったです。駅のためのスイッチバックはたくさんありますが、本線がスイッチバックになっているのは珍しいのです。
運転台から見える先の線路は草に覆われて行き止まりです。ここから列車は逆方向に進みます。ホームの端から続く赤い道が、この駅からの乗客の出入り口です。
列車は立野を出て急勾配を登ります。しばらく登って停車し、運転士は車輌内を歩いて逆側の運転台まで行き、反対方向に運転します。ワンマン列車なのです。車掌がいる列車では、車掌が前方を確認して運転士がバックさせることができるので、移動する必要がなく無駄な時間がかかりませんが。
地震で崩れた斜面をコンクリートで固めたところが何カ所も車窓から見えます。斜面の下側、進行に向かって右側に、崩落した(国道の)阿蘇大橋が引っかかったままの形で見えました。
4人ぐらいの人が、運転席の後ろに立って前を見て写真を撮っていました。鉄道ファンでしょうか。目的は地震の復旧の跡なのか、それともスイッチバックでしょうか。私は目立たないように、自分の席から撮っていました。
いつも通る踏切を過ぎると赤水の駅です。特急の停車駅だというのに、降りたのは私だけでした。列車は宮地の方へ走っていきました。