阿蘇ひぐらし通信

庭園鉄道「阿蘇ひぐらし鉄道」のこと、また懐かしい駅の写真も紹介します

部屋全体をカメラにする

 大分の美術展で見たのは、20年くらい前だっただろうか。真っ暗な部屋に入ると、大分駅構内の景色が逆さまに壁に写っている。部屋全体がカメラの暗箱になってその中にいるということだ(カメラ・オブスキュラという言葉が、もともと「暗い部屋」いう意味らしい)。列車や機関車が行き来してとても面白い。

 それはともかく、同じことを自分のうちでやってみたいと思っていた。でも、ピンホールカメラのように、ただの穴ではダメだろうし、適当なレンズを見つけないとというところで、ずっと、そのままになっていた。

 先日思い立って、焦点距離が窓から壁くらいの長さ、つまり3mから4mの焦点距離の凸レンズを探してみた。なかなか見つからなくて、あるネットの記事を見たら、カメラのレンズにつけるクローズアップレンズのNo,1は焦点距離が1mだと書いてあった。番号の逆数が焦点距離、つまり番号はディオプトリーらしい。それなら持っている。

 そこで、ちょっと試してみた。その時はちょっと勘違いして、焦点距離の2倍のところに像ができるのかと思っていたが、間違いだった。ピントが合うのは、対象物の距離によるが、焦点距離+αの距離に像ができる(無限遠の物体が焦点距離のところに像ができる)。

 そういう次第で窓と像を写す壁の距離に近い(ちょっと短いくらい)の焦点距離の凸レンズを探すことになった。いろいろ探していて、やっと見つけた。焦点距離3000mm、4000mmも見つかった。色収差はあってもむしろいいくらいなので、コートなし口径30mmで、3000円ちょっとだった(レーザー実験用らしい。だから色収差の補正は必要ない)。

 段ボールに穴を開けレンズをはめて、窓に貼り付けるその周りをカーテンで遮光して、向かい側には白い壁がないので、プロジェクター用のスクリーンを置いた。

 空と木の枝が見える。像は逆さまなので、下の方に空がある。その上は道の向かいの家や庭の草木があるのだが、暗くてあまりよく見えない(実際はもっとコントラストが低い。スマホのカメラは勝手に調節してくれるから。左右に黒ものがみえるのは、部屋の中の邪魔者の影である。本番は、もっと適当な部屋を探す予定)。

 でも、20年越しの計画が実行できて良かった。カーテンの隙間や、戸の隙間から漏れ入る光を遮ったらもう少しはっきり見えるようになるかもしれない。口径の大きいレンズに変えるのもいい。口径50mmのものもあるようなので、今度はそれを試してみよう。コートなしなら5000円ちょっとのようだ。

 もうひとつ気がついたのは、北側の部屋でするといいことだ。南側だと逆光になって、影の部分が多くなってしまうからだ。でも、うちの北側には適当な部屋がないから、困ってしまう。

 

暗い部屋(カメラ・オブスキュラ)の実験 2022年12月18日